「恋愛や性に興味が持てない」と感じたとき、自分がおかしいのではないかと不安になる人は少なくありません。
でも、「恋愛や性に興味が持てない」のはごく自然なことです。
アセクシャル(Asexual)という言葉は、性的な欲求を感じにくい人を指し、近年注目が高まっています。
この記事では、アセクシャルの定義や特徴、恋愛や結婚への考え方、社会とのすれ違い、そして自分らしく生きるためのヒントを解説します。
先に結論を知りたい方へ
- アセクシャルとは「他者に性的欲求をあまり感じない」指向の一つ
- 恋愛感情を持つ人・持たない人がいる(アロマンティックとは別)
- 恋愛や性を前提としない関係(友情結婚など)を選ぶ人もいる
- 誤解や偏見はあるが、少しずつ社会的理解が進んでいる
- 自分のペースと安心できる関係を大切にすることが何よりも重要
アセクシャルとは?定義と特徴

アセクシャル(Asexual)とは、「他の人に性的な欲求をあまり感じない、または感じない人」のことです。
恋愛や結婚を否定しているわけではなく、性的な関心の持ち方が少し違うだけです。
医学メディアによると、アセクシャルは「性的な魅力を感じにくい指向」であり、心や体の異常ではありません。
出典:Medical News Today「What to know about asexuality」
性的指向の一種としての位置づけ
アセクシャルは、異性愛や同性愛と同じように「どんな相手に性的な魅力を感じるか」という軸で説明されます。
その中で、アセクシャルは「誰にも性的な魅力を感じにくい」という位置にあたります。
この状態は病気やトラウマではなく、自然な個性のひとつです。
周囲が理解してくれると、安心して自分らしい関係を築きやすくなります。
アセクシャルと「性嫌悪(セックス嫌悪)」の違い
アセクシャルは「性に興味がない」ことであり、「性が嫌い」とは限りません。
中には性的な話題や行為に抵抗のない人もいれば、苦手に感じる人もいます。
つまり、「関心がないこと」と「嫌悪すること」は別のものです。
「関心がないこと」と「嫌悪すること」の違いを知っておくと、アセクシャルの人への理解がぐっと深まります。
世界での認知と現状
イギリス・キングスカレッジ・ロンドンの調査では、アセクシャルの人々が社会の中で無理解や偏見に直面する実態が報告されています。
多くの人が「周囲に理解されないこと」をストレスに感じており、社会的支援の重要性が指摘されています。
出典:King’s College London「Asexual people face ignorance and intolerance in UK, study suggests」
アセクシャルの恋愛・結婚観

アセクシャルの恋愛観は人によって大きく異なります。
主なタイプを整理すると次の通りです。
- 恋愛感情はあるが、性的な関係を望まない
- 恋愛も性も興味がない
- 深く信頼できる相手にだけ恋愛感情を抱く
- 恋愛よりも友情や安心感を重視する
このように、恋愛への距離感も人それぞれです。どの形も自然な個性のひとつです。
恋愛感情は持てる?アロマンティックとの違い
アセクシャルは「性的な欲求を持たない」ことを指しますが、恋愛感情まで持たないとは限りません。
恋愛感情を持つアセクシャルもいれば、恋愛自体に興味がない「アロマンティック(Aromantic)」の人もいます。
つまり、アセクシャルとアロマンティックは別の軸なのです。
性と恋愛の感じ方を分けて考えると、自分の気持ちをより整理しやすくなります。
「友情結婚」や「共生婚」を選ぶ人も
恋愛や性的関係を前提としない関係として、「友情結婚」や「共生婚」を選ぶ人もいます。
お互いの価値観や生活のペースを尊重し合い、信頼関係を土台にしたパートナーシップの形です。
恋愛をしないことを「欠けている」と捉える必要はありません。
むしろ、心の安心感や穏やかな関係を重視する人にとっては、自然な選択といえます。
恋愛や性を前提としない結婚を考えるなら、こちらで詳しく解説しています。
≫ 友情結婚とは?|定義・手続き・基本を徹底解説!
アセクシャルと社会のすれ違い

アセクシャルの人が生きづらさを感じる理由の多くは、「恋愛が前提の社会構造」にあります。
理解が浅い環境では、何気ない言葉がプレッシャーになることもあります。
よくある誤解とすれ違いは、以下のとおりです。
- 「恋愛しないのは寂しいからでしょ?」
- 「いつかいい人が現れるよ」
- 「トラウマがあるの?」
- 「相手に失礼じゃない?」
こうした言葉は悪気がなくても、当事者にとっては傷つくことがあります。
「恋愛をしない=おかしい」という固定観念から離れることが、理解への第一歩です。
恋愛を「しなければならない」と感じる風潮については、こちらの記事も参考になります。
≫ 「恋愛=当たり前」の風潮はなぜ?恋愛を前提にしない生き方を紹介
アセクシャルが安心して生きるためのヒント

アセクシャルの人が安心して暮らすためには、「理解してくれる環境」と「自分の気持ちを大切にできる時間」が欠かせません。
当事者コミュニティ・サポート団体の紹介
アセクシャルの人は、身近に同じ悩みを共有できる人が少ない傾向があります。
だからこそ、SNSなどでゆるくつながれる場所を知っておくと安心です。
| 名称 | 内容・特徴 |
|---|---|
| X(旧Twitter)ハッシュタグ「#Aセク」「#アセク」 | 日本語で当事者の声を探せるタグ。発信せず読むだけでも参加できる。 |
| note・X(旧Twitter)内の体験談検索 | 「Aセク」「恋愛しない生き方」などのキーワードで、実際の声を読むことができる。 |
SNSでは「#Aセク」「#アセク」などで検索すると、日常の感じ方や人間関係の工夫を共有している人が見つかります。
無理に交流しなくても、「同じように感じている人がいる」と知るだけで心が少し軽くなります。
友情結婚という選択肢
恋愛や性的関係を前提としない関係を築きたい人の中には、「友情結婚」を選ぶ人もいます。
形式的な結婚にとらわれず、安心して支え合える関係を求める人にとって、ひとつの選択肢となっています。
≫ アセクシャル×友情結婚|自分らしい関係を築く方法を解説
まとめ|恋愛も性も「どちらでもいい」という自由へ

アセクシャルは「恋愛も性も、どちらでもいい」と思える自由な生き方です。
恋愛や性的な関係を持たなくても、信頼・尊重・安心の上に成り立つ人間関係を築くことができます。
大切なのは、自分が心地よいと感じる距離感を選ぶことです。
恋愛をしないからといって、愛やつながりを持たないわけではありません。
それぞれの形に正解や優劣はなく、どんな関係も同じように価値があります。
もし「恋愛をしない結婚」や「支え合える関係の形」を知りたいと思ったら、こちらの記事もおすすめです。
≫ 友情結婚の実態とは?恋愛を前提としない結婚を選ぶ理由
恋愛や性にまつわる「当たり前」にとらわれず、あなた自身の心が穏やかでいられる生き方を見つけていきましょう。